昨日のブログ記事に書いた半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)。
近年、集中豪雨など異常気象もあり、低気圧にともなう頭痛など、気象病にこまっている方も多いと思います。
天候悪化時に悪化する頭痛に有効な半夏白朮天麻湯は、こんな処方 ↓
14の生薬で構成される処方(もとは生姜は入っていないが『北里大学東洋医学総合研究所 漢方処方集』には入ります)。同様に蒼朮(そうじゅつ)、神麴(しんきく)が入らない某社エキス漢方もあり、おおもとと異なる処方内容のこともありますので、気をつけて見ると面白いです。
神「麴」というだけあり「こうじ」のように腸内細菌にかかわります。麦芽も消化関与するアミラーゼをふくむため、胃腸系に好影響があります。古典にも「脾胃虚弱を治す」とあります。胃腸虚弱に良いんです。
また同様に「痰厥頭痛を治す」との記載もあり、頭痛に用いられる代表処方のひとつです。ほか足の冷え、めまいなどにも有効です。
当院では黄耆も綿黄耆ではなく晋黄耆(晋耆)、人参は御種人参を用いています(「御種」は江戸時代、幕府がじきじきに栽培を推奨した人参の品種、を意味しています。オタネ人参)。黄耆と人参をふくむ処方は参耆剤(じんぎざい)と称し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の易疲労感などに広く用いられている補中益気湯も参耆剤のひとつです。
生姜(しょうが、生薬名はショウキョウ)、乾姜(カンキョウ)と2つの姜。
蒼朮(ソウジュツ)、白朮(ビャクジュツ)と2つの朮。
それぞれの違いも面白いですが、また別の記事で。
ちなみに蒼朮の表面にカビが生えているように見えるかもしれませんが、これはカビではなく、むしろ有効成分の一種で良品の証(あかし)です。メーカーによってかなり差があります。
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2021年7月9日
文責 みちとせクリニック
院長 堀田広満