6月22日(水)の外来を休診します。

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。

日本東洋医学会の学術総会が本日5月27日~29日まで開催中です。

今回が第72回。歴史ある学会。院長の私も演題が採択され、一般演題を発表しています。

カテゴリーは医学史。聞き慣れないことばですね。漢文など古典書物などから、その当時の医術を読み解いたり、現代医療との比較検討をおこなったりします。「なんちゃって漢方医」とか「なんとか王子」とか、つくしのように乱立してますが、古典を読まずにどこを自分の診療の拠り所にしているのか、いささか心配になります(笑)

『勿誤薬室方函口訣』に引用された『療治経験筆記』

ことしのテーマはこれにしました。「浅田飴」で知られる、浅田宗伯があらわした『勿誤薬室方函口訣』(ふつごやくしつほうかんくけつ)は、保険診療で用いられる漢方エキス処方の原典としてもかなりのウェイトを占めています。

さて、その『勿誤薬室方函口訣』のルーツはどこにあるのでしょうか?

それに関する指定講演を北里大学東洋医学総合研究所で命じられたのが、2016年の漢方治療研究会で、私の演題名は『勿誤薬室方函口訣』の出典調査から、でした。このポスター、実は私がつくりました!

向かって右の人物が、浅田宗伯先生です。

5月3日(火)5月4日(水)の外来を休診します。

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。

長文なので、結論を最初に。

漢方生薬の陳皮などシトラス系にふくまれるヘスペリジンおよびヘスペレチンは、新型コロナウイルスが細胞内に侵入・感染するために必要なスパイク蛋白を減らします。ただし、猿の腎臓由来の細胞レベルの実験結果(in vitro)でありヒト個体の治験(in vivo)ではないことが重要で、この実験のみで話を単純化させてはいけません。

新型コロナウイルスは、ウイルス自身に存在するスパイク蛋白をヒト細胞の蛋白、ACE2およびTMPRESS2に結合させ、それを足掛かりにヒト細胞内に侵入、感染が成立します。つまり新型コロナウイルスのスパイク蛋白、ヒトのACE2およびTMPRESS2、それぞれの蛋白量、結合の度合いによって感染のスピード、重症度も変化することが知られています。

ところで、新型コロナウイルスは糖尿病や高血圧など生活習慣病を合併している人が重症化しやすい、とご存知の方も多いでしょう。高血圧の人が重症化しやすいのも、このACE2の蛋白量が正常人よりも多いためではないか、と言われています。同様に喫煙者も肺などの気道粘膜細胞上でのACE2蛋白量が増えており、ノンスモーカーより新型コロナウイルスに感染しやすいとされます。

前回紹介した論文ですが、下記の実験もおこなっています。すなわち、ヒトのACE2に結合する新型コロナウイルスのスパイク蛋白をVeroE6という細胞に強制的に発現させ、生薬の陳皮などシトラス系にふくまれるヘスペリジンおよびヘスペレチンがそれぞれ、スパイク蛋白を減らすか否か、を検討した実験です。


(ちなみに、猿の腎臓由来のVeroE6細胞はSARSが流行した際にも研究に活用され、SARSコロナウイルスが安定して発現しやすい培養細胞のひとつ)

ヘスペリジンおよびヘスペレチンが新型コロナウイルスのスパイク蛋白を減らすのですが、その機序は2つあります。まず新型コロナウイルス中のスパイク蛋白とACE2受容体同士の結合を妨げること、さらにACE2およびTMPRESS2の蛋白発現の量を減らすことです。

新型コロナウイルスのスパイク蛋白は、もとのタイプ(Wild)から変化します。これがいわゆる「変異型」です。「ワクチンが前の型には有効であったが、今回のオミクロンなどの変異型には有効であるのか?」と議論されますが、具体的には「D614Gスパイク変異」「501Y.v2スパイク変異」など種々あります。この下の図にある “D614G” “501Y.v2” も変異型で反応に変化が起きないか、つまりヘスペリジン(HD)およびヘスペレチン(HT)の効き方に差がないか、を調べているんです。

Chen, Nutrients 2021年13巻8号

図の各A-Dは下記のとおり。
(A) レンチウイルスのスパイク蛋白
(B) 新型コロナウイルスのスパイク蛋白(Wild)
(C) 新型コロナウイルスのD614Gスパイク変異
(D) 新型コロナウイルスの501Y.v2スパイク変異

VeroE6細胞に2日間、ヘスペリジンもしくはヘスペレチンを反応させる。

その後、そのVeroE6細胞にウイルスの成分(A)(B)(C)(D)を1日間、反応させる。

さて縦軸は、VeroE6細胞へ各々がどれだけ結合するか(感染モデル)ですが、どう変化するか? (図の HDはヘスペリジン、HTはヘスペレチン、Control はHD・HTを入れない対照群)

(A) 新型コロナウイルスではないレンチウイルスの系は、ヘスペリジン(HD)、ヘスペレチン(HT)両者ともにスパイク蛋白が細胞内へ侵入するのを抑えられなかった。

一方、新型コロナウイルス感染症モデルである3系統は
(B) もとのスパイク蛋白(Wild)
(C) D614Gスパイク変異蛋白
(D) 501Y.v2スパイク変異蛋白

すべてヘスペリジン(HD)、ヘスペレチン(HT)両者ともにスパイク蛋白の細胞内への侵入を防いでいることが分かります(縦軸の減少の度合いが強いほど、治療効果の可能性あり)。

統計学的に意味のあることを「有意差」とあらわしますが、この図ではP値が少ないほど有意差が強く(一般的には0.05未満)、図では**が<0.01, ***が<0.001, ****が<0.0001と、かなり強い結果となっており興味深いです。

つまり、ヘスペリジンおよびヘスペレチンは、細胞内に新型コロナウイルスウイルスが侵入することを防ぐ可能性が高いのです。ただし冒頭に述べたように、この実験はヒト由来の実験系ではないことを再び強調します。「ヘスペリジンもしくはヘスペレチンをふくむシトラス系(たとえば生薬の陳皮など)がヒトの新型コロナウイルス感染症に必ず効く」などと短絡的な思考をしてはいけない。それは単純系の科学ではない、ということです。

【以上、転載禁止】

文責 みちとせクリニック院長

堀田広満

2月11日(金)の午後外来を休診します。

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。

「陳皮-2」の記事を書く前に、新型コロナ感染症に関しての良書『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(峰 宗太郎・山中 浩之 著)を紹介します。

TVで峰医師をみた方も多いのではないでしょうか。本当に現場に必要とされる医師はテレビに出演する時間もない場合が多く、TVに出ている時点で「嘘なんじゃね? 大丈夫?」と斜に構えてコメントを聞くべきこともあります。が、この本はバランスがとれていて首肯できます。対談相手の山中さん(以下Y)が医療者ではないのが功を奏しており、一般の方には理解しやすいと思います。

(以下、引用始)

 ご自身が、本を閉じてからまずやるべきことを考えてみてください。(中略)それは、「本は読んだけど、峰とYさんから聞いたことを、本当に丸呑みしていいの?という疑問を感じること」です。

Y お金を払ってお読みいただいたラストに、ものすごい結論が来ました。怒られないといいんですが…

 でもそういうことですよ。これで、峰が、あるいはYさんが言うことはみんな正しい、なんて思うなら、おそらく別の本を読んだらまたひっくり返る、出てきた情報に飛びついて振り回される、そういう可能性があるってことでしょう。峰が正しいか、別のなんとか先生が正しいか、などということは、はっきり言えばどうでもいいんです。

(引用終)

終始こんな感じ(笑)。オミクロン型が出現する前の出版(初版2020年12月)ですが、オミクロンなど潜伏期間の短い型が出現した現在でも、科学の正しい捉え方、集団へのPCR検査の意味(特異度、感度)など総論はためになります。

この本で挙げられた「呼吸器感染症の予防法リスト」。これからも重要です。

  1. 栄養と睡眠をしっかりとる
  2. 手指衛生(手洗い)の徹底
  3. 咳エチケット
  4. 3密を避ける
  5. 体調不良者と接触しない、体調不良なら外出しない
  6. マスクの着用
  7. 十分な換気
  8. うがいについては水で十分

「当たり前の【よく食べ】【よく眠る】が感染症対策のゴールデンルール」と1章のまとめに書かれています。上記の予防法リストにも「ワクチン」と書かれていないのがポイントです。ワクチンより先にやるべきことがある、という点は今も変わりがありません(この点、実は2019年まで大流行していたインフルエンザもまったく同様)。「栄養と睡眠」は養生であり、「栄養」は生薬、「睡眠」は針灸をふくめた自律神経系の調節ともかかわりが深いです。

ところで東洋医学にたずさわる方の中に、トンデモ本を出す人がいるのは本当に残念です。恥ずかしい。私は常に西洋医学のフィルターをとおして、東洋医学をみつめる習慣をつけています。その上で、目の前の患者さんにとって西洋医学の方が better と判断すれば、東洋医学ではなく西洋医学が良い旨、つたえています。

文責 みちとせクリニック院長

堀田広満

今(2022年1月現在)から5ヶ月前「ヘスペリジンは新型コロナウイルス感染症に有効」とする論文が出ました(Nutrients 2021年13巻8号)。

論文名は ”Hesperidin Is a Potential Inhibitor against SARS-CoV-2 Infection” 

“SARS-CoV-2”は「新型コロナウイルス」のこと。つまり「ヘスペリジンは、新型コロナウイルス感染症の症状悪化を抑制するポテンシャルをもっている(有効性がある)」を意味します。この論文が出た真夏、英文を読みながら「ヘスペリジンを含む生薬といえば陳皮(ちんぴ)だな。陳皮は新型コロナウイルス感染症の予防、症状悪化の阻止に有効なのでは?」と考えていました。

ヘスペリジンは、柑橘系の果物から分離されたフラボノイドの一種ですが、以前から心臓や血管系の保護作用につき研究が進んでいます。結論から言うと、ヘスペリジンは細胞膜の蛋白質、II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)とアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)、この2つに結合します。

新型コロナウイルスはこの2種類の蛋白質(TMPRSS2, ACE2)をつかって細胞内に侵入するのですが、ヘスペリジンがその侵入を邪魔する、つまりヘスペリジンは新型コロナウイルス感染症の進展を抑える働きがある、とする論文です。ちなみに、ヘスペリジンの代謝産物のヘスペレチンも、ヘスペリジンと同様の結果でした。

Chen, Nutrients 2021年13巻8号

この論文のユニークな点は解析方法、ドッキングシミュレーション。蛋白質などの物質は構造式(ベンゼン環など)で平面的に表現できますが、実際は3次元的に立体で存在します。また時間とともに刻々とその形態が変化していくため、4次元的ともいえます。静的(static)なものではなく動的(dynamic)に変化するものです。その2つ以上の物質(低分子・高分子)の相互作用を、コンピューターで計算・推定する方法がドッキングシミュレーションです。

「しょせんコンピューターでしょ?」と思われるでしょうか? これを人海戦術でおこなうのは無理です。また年々コンピューターの解析スピード、精度が上がってきており近年、新薬開発にも利用されるようになってきました。専門的な話ですが、高分子の蛋白質も疎水性・親水性(油になじむか、水になじむか)やリン酸化の有無など化学変化によって、2種類以上の蛋白質が接着しやすいか否か、その部位はどこか、等が決まっていきます。

続きは次回に。

【以上、転載禁止】

文責 みちとせクリニック院長

堀田広満

ちょうど6ヶ月前、手術をうけた父について、患者さんたちや知人から心配をいただき感謝です。紆余曲折があり昨年末に退院した父。強靱な精神力にあたまが下がります。願掛けのように、いったんブログ中止していましたが今後、書き続けますのでよろしくお願いします。

さて昨年10月にオンライン診療を開始した旨、私がブログに記載したごとく、「生薬の陳皮が新型コロナウイルス感染症に有効」とする英語論文が出てきています。「やはり」の感ですが、その後、昨年末には「新型コロナに効く⁉ 中国で陳皮の需要急上昇」の記事も国内の新聞(西日本新聞)に掲載されました。中国では、その陳皮の価格が上昇している、と。そうでしょうね。予想どおりです。

12/28(火)-1/4(火)は休診です。

1/5(水)から通常どおりの診療になります。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願い申し上げます。

12月4日(土)の外来を休診します。

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。