みちとせクリニックの特徴・考え・注意事項
当院スタッフの得意な知識・診察技術
- 国家資格(医師、鍼灸)をもつスタッフが診察、処方、施術をおこないます。
- ありふれた医療で改善しない症状をもつ方、もしくは副作用でむしろ症状が悪化・追加された方に、生薬(しょうやく、きぐすり、生きる薬)、針灸やサプリメント、健康食品などの知識、技術を駆使します。どんなに症状が悪化しても、茯苓四逆湯などの処方群、針灸など治療手段があります。それが東洋医学の良いところです。
- わが国最初の東洋医学の総合的な研究機関、北里大学東洋医学総合研究所(現、北里大学研究所病院 漢方鍼灸治療センター)で長年、診療を実践してきたスタッフが、診療いたします。北里大学東洋医学総合研究所で、院長は漢方診療を8年間・また東洋医学の古典研究(医史学研究)を13年間、針灸師は経絡治療を主とした針灸を8年間、学び実践してきました。
- 当院の院長が日本東洋医学会に入会したのが西暦2000年で、かれこれ25年間は東洋医学を学び続けています(2025年現在)。
- 当院の針灸師は、父親が針灸師かつ生薬の薬剤師、母親も生薬の薬剤師であり、幼少期から東洋医学に触れ続けてきました。
当院の生薬(刻み生薬、煎じ薬)・エキス剤・丸剤に関して
- 生薬の品質には良し悪しがあります。院長みずから高品質の生薬を見極め、発注、管理、炙りなどの加工、処方をしています。ひとりひとりオーダーメイドです。
- 保険診療でもちいられる粉の漢方(エキス剤)も一部、取り扱っていますが、当院は保険診療ではなく、すべて自由診療です。エキス剤にも利点がありますが、煎じ薬にくらべ食物繊維の量・芳香成分が圧倒的に少ないなどの欠点もあります。患者さんとは相談して処方の剤形(煎じ、散剤、丸剤など)を決めています。
- 患者さんにとっては、生薬に関する情報のみならず、生薬そのものが手に入りづらい時代を迎えつつあります。貴重な資源を、ヤミクモではなくホンモノを求める人に、自由診療で提供します。
当院の針灸に関して
当院のサプリメント・健康食品・お灸など健康補助商品に関して
- 当院はサプリメントにも力を入れています。生薬と同様に、信頼のおけるメーカーの商品のみを取り扱い、ネット販売などは一切おこないません。対面販売です。ご興味のある方はご相談ください。
- お灸の対面販売も行っています(ネット販売はありません)。
- 意外に感じるかもしれませんが、生薬やパワーフードとサプリメントは成分が合致するものもあります(たとえば川芎・神麴のフェルラ酸:認知症と関連、ほか山査子のレスベラトロール:長寿と関連、黄柏・車前子とグアニジン誘導体:血糖値スパイクと関連etc)。(2017年の拙論『黄柏・車前子とグアニジン誘導体メトホルミン』を参照ください)。
- むしろ近代科学が生薬の知恵に追い付いてきた感があります。2015年のノーベル医学・生理学賞を受賞したト・ユウユウ氏のアルテミシニンは、同氏が『肘後備急方』(ちゅうごびきゅうほう)という医学古典に記載がある、植物のヨモギの仲間に関する記載からヒントを得て、発見された物質です。
未病のうちに・早期ケアすることの重要性について
- いわゆる未病のうちに予防・介入した方が、問題・症状が大きくなってから治療するよりも健康回復が早く、確実なことが多いため、未病対策、予防医療に力を入れています(極端に分かりやすく言えば、子宮筋腫が小さいうちは手術が不要で服薬治療が奏功する場合がある一方、大きくなったり多発すると手術に至るのと似ています。ほか大腸ポリープと思って内視鏡手術で摘出したら、ポリープの中に癌が隠れているケースも、数年間見逃されれば他臓器に転移し得ます)。
- 「何かが変だ」と自覚することは、太古の昔も現代も、その重要性は変わりません。ヒトが感じるエラー(認識の間違い)には2種類あるそうです。第1のエラーは「何も無いはず」と感じる間違い。たとえば野宿していたとして、真っ暗闇の中、草むらの向こうからガサゴソと音がした。「なぁんだ、風で草が揺れたか」と感じたが、実際は野獣が現れそのヒトは喰われた。第2のエラーは「何かいるはず」と感じる間違い。同じシチュエーションで、ガサゴソと音がした。「やばい! ライオン?! 幽霊?!」と慌てて走って逃げたが、実際はただの風が草を揺らした音にすぎなかった。どちらも間違いなのですが、生き延びたのは逃げた後者です。過剰な不安は生きづらさにつながりますが、過剰な安心は「太く短く」生きることになります。
- 今まで生き残ってきたホモサピエンスは、第1のエラーの失敗にはまらなかった、不安サイドで動いた末裔。それが現代の私たち、運の良かった生き残りです。不安はうまく付き合えば、むしろ長寿につながります。悪い芽は早めに摘みましょう。
いわゆる東洋医学の流派に関して ー 当院の立場・考え方 -
- 当院は日本の伝統医療(Japanese Traditional Medicine, Kampo)を行っています。1950年前後、文化大革命を中心に生じた現代中医学とは距離をとっております。ですので、患者さんとの弁証論治的な、ことば遊びはいたしません。いにしえより日本の伝統医療が受け入れてきた処方群、施術を実践、継承します。
継承され続けてきた文化遺産である伝統医学を次の世代へ継承することを、重要視します
- 先代、千代、三千代(みちとせ、3,000年前)から受け継がれてきた伝統医療を、次の世代に継承すべく、研究、実践、座学を進めていきます。
- 一方で3,000年前どころか、数年前まで無かったコロナワクチンの副作用など、新しい症状、新しい証も出てきた時代です。100年単位で観れば、抗生剤、抗がん剤、放射線治療による副作用も「新しい証」と言えるでしょう。過食に伴う生活習慣病も同様です。西洋医学的に新しい漢方薬をつくるのではなく、しかし謙虚に、虚心坦懐に医学の古典から「あたらしい」処方を探し出す努力を続けます。
全人的医療 Holistic Medicine に関して
- 患者さんの病状が良くなるためなら、東洋医学にこだわりません。当院を受診された患者さんでも、救急医療など西洋医学が得意とする疾患・症状の場合、西洋医学をお勧めする場合があります(院長は骨髄移植・幹細胞移植など悪性腫瘍の治療、病理診断、RT-PCR・Western-blot・免疫染色など核内受容体の研究をふくめ、西洋医学の基礎・臨床・研究をおこなってきました)。
- 上記内容と重複しますが、北里大学東洋医学総合研究所の初代所長、昭和漢方の立役者である大塚敬節は、江戸の漢方医、亀井南冥(かめいなんめい)の言葉を床にかけ日常診療にあたっていました(出典『漢方診療三十年』序文)。「医者意也、意生於学、方無今古、要期乎治」 - その意味は「医にたずさわる者は(患者を治す)意志・熱意が重要だ。その意志決断・情熱は学問から生じる。治療法に現代薬も伝統薬も関係ない。要は病気を治すことを主眼にすべきなのだ」 - といったところでしょう。私も13年間、お世話になった医局を離れる際、ある先輩医師に伝えたのが、この亀井南冥のことばでした。
- 院長は牧師の家に生まれ、霊的問題を抱えた方々と小さい頃から出会ってきました。西洋医学だけでは太刀打ちできない問題を人間は抱えやすいことを理解しています。ターミナルケア、末期医療において、今は当たり前となったスピリチュアルケアの重要性も当院の院長は理解しています。かといって、安易な怪しい神秘思想などに「逃げた」医療はおこないません。
- いかに金があろうと、地位があろうと、人間には必ず平等に死がおとずれます。「健やかに生きる」とは人それぞれ違う価値観があるかと思いますが、ひとりひとりの患者さんの価値観に向きあい、身体的健康、精神的健康のみならず、家庭・社会的健康、霊的健康など holistic(全人的)な医療を目指します。
診療する側の修行の重要性について
- 舌診・脈診・腹診など東洋医学の特殊な診療技術や、経絡治療などの技術は、昔と変わりなく師匠から弟子につたえられるものです。
- 閉鎖性が強い領域と思われるかもしれませんが、今や国家資格がなくともSNS等、まやかしの健康情報を配信する偽物が出てきており、やはり数年間、腰をすえて修行をおこなった者にしか会得できない、会得したフリをしてはいけない領域はあるのです。
- 免許がなくとも「私は医者です」と宣言すれば誰もが医者となれた中世はヤブ医者が横行しました。ひるがえって SNS 乱立の現代は、誰もが「15分間は有名になれる」(アンディ・ウォーホル “15 minuites of fame”)時代であり、逆説的ですが、safety net の最たる医療を乱獲されないための閉鎖性、師と弟子の関係性、修行はある程度、重要と考えています。
- ネットの情報がすべて正しいとお思いですか? であれば、自分の命にかかわる医療情報も AI (人工知能)情報のみを鵜吞みにすれば良いはずですが、おそらく智恵のある患者さんは、そんな単純な意思決定をしないはずです、今後ますます。内田樹さんは『修行論』で修行の重要性を説いておられますが、やはり修行をした人間の発する言霊の重みは違います。私、院長もまだまだ修行を重ねていく所存です。
パラダイムシフトをむかえた新時代の東洋医学について
- 小難しいことを書きますが、エビデンスが十分でなくとも EBM (Evidence Based Medicine)は成立します(5年前の院長、堀田の論文 → 小児科61巻3号)。私の論文を読んでいただければ理解いただけますが、エビデンスを無視しているわけではありません。日本東洋医学会がまとめたエビデンスのサイトもあります。が、エビデンスは例えてみればストロボライトがあたった写真をつなげたようなもので、1対1対応のデータ、単純系には強いのですが static であり、複雑系や dyanamic な病態、慢性的な病態には弱いのです。
- EBM(証拠、確証)は古典の中にも在るのです。脳と腸など臓器間のクロストーク、内分泌・神経・免疫の連関など、科学も単純系から複雑系へ移ってきました(14年前に院長が書いた、2011年の拙論『システム生物学と東洋医学』を参照ください)。また10年前の2015年に受けたインタビュー(後述)で語ったように東洋医学のEBMの一部は今後、AI (人工知能) が証明していく可能性があります。一部ですが。
- ユークリッド幾何学では平行線は交わりませんが、非ユークリッド幾何学では交わります。地球の経線・緯線が近視眼では平行でも、いずれ北極や南極では交わります。要は大切なのは実学、本当に役立つ学問であるか、です。東洋医学は、そのダイナミックさ、変化への対応力、宇宙的な視野の広さが『易経』にも似て実践的です。
- 東洋医学の診療技術は、おそらく今後も AI(人工知能)に置き換わることは無いでしょう。ヘアメイクなどと同様、今後むしろ AI は東洋医学を不得意とする分野となるはずです。AI に touching (手当、てあて)はできないのです。参考書籍として2013年の著作、松田卓也『2045年問題』を挙げます。この初版を当時、六本木にあった青山ブックセンターで購入した当院の院長は、かなり影響を受けました(以前、院長が取材を受けた記事、2015年4月の雑誌『Lattice いい医者になろう! Vol.3』「北里大学東洋医学総合研究所・堀田広満先生インタビュー 東洋医学の現状と未来」で本書を推薦図書に挙げました)。AI も限界があるんです。前時代の単純系の科学で AI を捉えると、足元を掬われますよ。
- これからは古典・経験的医療、ルーツに逆流する時代です。Back to the Roots (根っこ、生薬).
その他
- 当院での撮影・録音などは院長の許可など特殊な場合を除き、禁止します。
- 当院での喫煙、威嚇など他の患者さん、スタッフへの迷惑行為を禁止します。
- 「患者様」ではなく「患者さん」とお呼びします。いくつか理由がありますが「患者様」には、耳に痛いアドバイスができないからです。それは患者さんにとって損です。一時的な心地よさは将来、病にとって毒に変わるもしれません。その代わり当方を「お医者様」と呼ばなくて結構です。「患者」と呼ばないので「医者」とも呼び捨てしないでください(笑) 自明のことですが、論文など客観的記述が必要な場合、「患者」と表します。
- ネットには 陰的な情報が多く載ります。そもそもネット、オールドメディアなどの media ということばは、medium 霊媒の複数形と通じており、あっちの世界、陰的な世界観とつながりやすく、むしろ「感謝」など陽的な書き込みは少なくなりがちなのです。御縁を大切に、ネットに載らない体温のある情報、知り合いからの口コミなども参考にしてください。
- 東洋医学の専門医と称していても、師匠についた修行をしていない、なんちゃって漢方医もおります。診療を受ける患者さん側も、目を肥やし、また目を凝らしてください。当院でなくても良いので、どうか良い診療者と出会えますように。
【以上、転載禁止】
みちとせクリニック院長
堀田 広満