みちとせクリニックの目指すこと・考えること
当院スタッフの得意な知識・診察技術
- 国家資格(医師、鍼灸)をもつスタッフが診察、施術をおこないます。
- ありふれた医療で改善しない症状をもつ方、もしくは副作用でむしろ症状が悪化・追加された方に、生薬(しょうやく、きぐすり、生きる薬)、針灸やサプリメント、健康食品などの知識、技術を駆使します。どんなに症状が悪化しても、茯苓四逆湯などの処方群、針灸など治療手段があります。それが東洋医学の良いところです。
- わが国最初の東洋医学の総合的な研究機関、北里大学東洋医学総合研究所(現、北里大学研究所病院 漢方鍼灸治療センター)で長年、診療を実践してきたスタッフ(院長は漢方・医史学研究を8年間、針灸師は経絡治療を主とした針灸を8年間)が、診療いたします。舌診・脈診・腹診など東洋医学の特殊な診療技術や、経絡治療などの技術は、昔と変わりなく師匠から弟子につたえられるものです。閉鎖性が強い領域と思われるかもしれませんが、今や国家資格がなくともSNS等、まやかしの健康情報を配信する偽物が出てきており、やはり数年間、腰をすえて修行をおこなった者にしか会得できない、会得してはいけない領域はあるのです。免許がなくとも「私は医者です」と宣言すれば誰もが医者となれた中世はヤブ医者が横行しましたが、ある意味、誰もが「15分間は有名になれる」(アンディ・ウォーホル “15 minuites of fame”)現代は逆説的ですが、乱獲されない閉鎖性はある程度、重要と考えています。
- おそらく今後もAI(人工知能)に置き換わることは無いでしょう。ヘアメイクなどと同様、今後むしろAIが不得意とする分野となるはずです。AIに touching (手当、てあて)はできないのです。
未病のうちに・早期介入の重要性について
- いわゆる未病のうちに予防・介入した方が、問題・症状が大きくなってから治療するよりも健康回復が早く、確実なことが多いため、未病対策、予防医療に力を入れています(極端に分かりやすく言えば、子宮筋腫が小さいうちは手術が不要で服薬治療が奏功する場合がある一方、大きくなったり多発すると手術に至るのと似ています。ほか大腸ポリープと思って内視鏡手術で摘出したら、ポリープの中に癌が隠れているケースも、数年間見逃されれば他臓器に転移し得ます)。「何かが変だ」と自覚することは、太古の昔も現代も、その重要性は変わりません。ヒトが感じるエラー(認識の間違い)には2種類あるそうです。第1のエラーは「何も無いはず」と感じる間違い。たとえば野宿していたとして、真っ暗闇の中、草むらの向こうからガサゴソと音がした。「なぁんだ、風で草が揺れたか」と感じたが、実際は野獣が現れそのヒトは喰われた。第2のエラーは「何かいるはず」と感じる間違い。同じシチュエーションで、ガサゴソと音がした。「やばい! ライオン?! 幽霊?!」と慌てて走って逃げたが、実際はただの風が草を揺らした音にすぎなかった。どちらも間違いなのですが、生き延びたのは逃げた後者です。過剰な不安は生きづらさにつながりますが、過剰な安心は「太く短く」生きることにもなります。今まで生き残ってきたホモサピエンスは、第1のエラーの失敗にはまらなかった、不安サイドで動いた末裔。それが現代の私たちです。不安はうまく付き合えば、むしろ長寿につながります。悪い芽は早めに摘みましょう。
当院の生薬(刻み生薬、煎じ薬)・エキス剤・丸剤に関して
- 生薬の品質には良し悪しがあります。院長みずから高品質の生薬を見極め、発注、管理、炙りなどの加工、処方をしています。ひとりひとりオーダーメイドです。
- 保険診療でもちいられる粉の漢方(エキス剤)も一部、取り扱っていますが、当院は保険診療ではなく、すべて自由診療です。エキス剤にも利点がありますが、煎じ薬にくらべ食物繊維の量・芳香成分が圧倒的に少ないなどの欠点もあります。患者さんとは相談して処方の剤形(煎じ、散剤、丸剤など)を決めています。
- 患者さんにとっては、生薬に関する情報のみならず、生薬そのものが手に入りづらい時代を迎えつつあります。貴重な資源を、ヤミクモではなくホンモノを求める人に提供します。
当院の針灸に関して
- 当院の針灸は経絡治療を中心におこなっています。経絡治療は日本で生まれた独自の針灸です。その中心人物、柳谷素霊(1906-1959)は芸術家パブロ・ピカソにも施術をおこないました。横山大観など著名人も、経絡治療を愛し施術を受けてきました。
当院のサプリメント・健康食品・お灸など健康補助商品に関して
- 当院はサプリメントにも力を入れています。生薬と同様に、信頼のおけるメーカーの商品のみを取り扱い、ネット販売などは一切おこないません。対面販売です。ご興味のある方はご相談ください。意外に感じるかもしれませんが、生薬やパワーフードとサプリメントは成分が合致するものもあります(たとえば川芎・神麴のフェルラ酸:認知症と関連、ほか山査子のレスベラトロール:長寿と関連、黄柏・車前子とグアニジン誘導体:血糖値スパイクと関連etc)。(2017年の拙論『黄柏・車前子とグアニジン誘導体メトホルミン』を参照ください)。むしろ近代科学が生薬の知恵に追い付いてきた感があります。2015年のノーベル医学・生理学賞を受賞したト・ユウユウ氏のアルテミシニンは、同氏が『肘後備急方』(ちゅうごびきゅうほう)という医学古典に記載がある、植物のヨモギの仲間に関する記載からヒントを得て、発見された物質です。
- お灸の対面販売も行っています(ネット販売はありません)。
いわゆる東洋医学の流派に関して ー 当院の立場・考え方 -
- 当院は日本の伝統医療(Japanese Traditional Medicine, Kampo)を行っています。1950年前後、文化大革命を中心に生じた中医学とは距離をとっております。ですので、中医学の知識をもった患者さんとの弁証論治的な、ことば遊びはいたしません。いにしえより日本の伝統医療が受け入れてきた処方群、施術を実践、継承します。
継承され続けてきた文化遺産である伝統医学を次の世代へ継承することを、重要視します
- 先代、千代、三千代(みちとせ、3,000年前)から受け継がれてきた伝統医療を、次の世代に継承すべく、研究、実践、座学を進めていきます。
- 一方で3,000年前どころか、数年前まで無かったコロナワクチンの副作用など、新しい症状、新しい証も出てきた時代です。100年単位で観れば、抗生剤、抗がん剤、放射線治療による副作用も「新しい証」と言えるでしょう。過食に伴う生活習慣病も同様です。西洋医学的に新しい漢方薬をつくるのではなく、しかし謙虚に、虚心坦懐に医学の古典から「あたらしい」処方を探し出す努力をつみかさねます。
全人的医療 Holistic Medicine に関して
- 患者さんの病状が良くなるためなら、東洋医学にこだわりません。当院を受診された患者さんでも、救急医療など西洋医学が得意とする疾患・症状の場合、西洋医学をお勧めする場合があります(院長は骨髄移植・幹細胞移植など悪性腫瘍の治療、病理診断、RT-PCR・Western-blot・免疫染色など核内受容体の研究をふくめ、西洋医学の基礎・臨床・研究をおこなってきました)。
- 院長は牧師の家に生まれ、霊的問題を抱えた方々と小さい頃から出会ってきました。西洋医学だけでは太刀打ちできない問題を人間は抱えやすいことを理解しています。ターミナルケア、末期医療において、今は当たり前となったスピリチュアルケアの重要性も当院の院長は理解しています。かといって、安易な怪しい神秘思想などに「逃げた」医療はおこないません。いかに金があろうと、地位があろうと、人間には必ず平等に死がおとずれます。「健やかに生きる」とは人それぞれ違う価値観があるかと思いますが、ひとりひとりの患者さんの価値観に向きあい、身体的健康、精神的健康のみならず、家庭・社会的健康、霊的健康など Holistic(全人的)な医療を目指します。
パラダイムシフトをむかえた新時代の東洋医学について
- 小難しいことを書きますが、エビデンスが十分でなくともEBM(Evidence Based Medicine)は成立します(院長の論文 → 小児科61巻3号)。エビデンス(証拠、確証)は古典の中にも在るのです。脳と腸など臓器間のクロストーク、内分泌・神経・免疫の連関など、科学も単純系から複雑系へ移ってきました(2011年の拙論『システム生物学と東洋医学』を参照ください)。
- ユークリッド幾何学では平行線は交わりませんが、非ユークリッド幾何学では交わります。地球の経線・緯線が近視眼では平行でも、いずれ北極や南極では交わります。要は大切なのは実学、本当に役立つ学問であるか、です。東洋医学は、そのダイナミックさ、変化への対応力、宇宙的な視野の広さが『易経』にも似て実践的です。
- これからは古典・経験的医療、ルーツに逆流する時代です。Back to the Roots (根っこ、生薬).
その他
- 当院での撮影・録音などは院長の許可など特殊な場合を除き、禁止します。
- 当院での喫煙、威嚇など他の患者さん、スタッフへの迷惑行為を禁止します。
- 「患者様」ではなく「患者さん」とお呼びします。いくつか理由がありますが「患者様」には、耳に痛いアドバイスができないからです。それは患者さんにとって損です。一時的な心地よさは将来、病にとって毒に変わるもしれません。その代わり当方を「お医者様」と呼ばなくて結構です。「患者」と呼ばないので「医者」とも呼び捨てしないでください(笑) 自明のことですが、論文など客観的記述が必要な場合、「患者」と表します。